無理な紹介を求められたとき

こういう患者さんいますよね。紹介状が必要だからこの病院に来ました、というような人です。こういう人はわかってやっているのでいくら小さいクリニックで終わる問題と言っても聞きません。

私が経験した例ではヘバーデン結節をリウマチだから大学病院を紹介してくれといって聞かなかったケース。知っている大学病院の先生に紹介状を書いて事なきを得ましたが、やはり場末の開業医というのは患者さんからは信頼されにくいですね。

そもそも日本の医療制度は患者さんに優しすぎます。医師が必要ないと判断しても希望すればいくらでも保険適応で検査を受けることができます。しかも可能性がかなり低い非典型的症例でも見逃した場合は訴訟で医師は負けるので医師は強く出ることもできません。医師は弱者です。

医学が進歩して検査技術が優れてくると見つかる病気も増えます。そうなれば検査する蓋然性が余計に高まり検査せざるを得ません。裁判所は後出しジャンケンで検査するべきだったと言ってきますので我々は保身的にやっていくしかないのですね。

日本では医師は弱者です。権利を主張する患者様のために必死に働いて、裁判所から身を守るために社会保険料を無駄につかっていくことになります。パターナリズム的医療の時代のほうがよかったのではないかとも最近考えます。

いずれこの国民健康保険は崩壊するでしょう。崩壊と言っても全くなくなるわけではなく、この薬は何錠まで保険適応、入院何日まで保険適応、といったように制限が加わるはずです。でもその前に取れるところからとるのが日本の政治です。高所得者がより負担を感じる仕組みになって、それもできなくなったときに本当の終わりがきます。