真面目な医師が詐欺医療を助長する

医療

これは難しい話ですよね。医者としては治せる病気なんてほとんどなくて介入することでいまよりも寿命が伸びたり苦痛が和らぐなら介入しているというだけで、治しているものはあまりないのが現状です。

しかし治らないと言ってしまうと患者さんからすればかなり苦しい現実を突きつけられたことになります。かといって治ると言うのは明確に嘘です。

そんな中で主治医とは別の立場から「治るよ!」と言ってもらえるのはかなり心強いのではないでしょうか。あくまで主治医は治らないという立場で、でも同じ医療機関の中で正しいことをしながら希望を与えてくれる人がいるのは大事なことです。

私もよく「治らないのでうまいこと付き合っていく方法を探しましょう」というような表現をしますが、やはり患者からすれば治ります!と言ってくれる医者についていきたいですよね。その結果がいまのエクソソームやNMNなどの詐欺医療なのかもしれません。

医者として正しいことを言うのはもちろんですが、それで患者さんを落ち込ませてはいけません。かといって正しいことを聞いて落ち込んだ患者さんをケアしている時間がないのが現状です。

お金を持っている患者さんからすれば「医者」が「エクソソームを使えば治ります!最新なので保険適応外なんです!私と一緒に頑張りましょう!」といえばそちらにコロッと寝返ってもおかしくありません。実際は詐欺なので治るわけもないですし皆お金と時間を失って最初の医師のところに戻ってきます。

結局のところ「医者」を名乗る人がこんな詐欺をやって稼いでいることが問題なのです。いくら合併症を起こしても医師免許が剥奪されることもありませんし、国が取り締まろうという気配もありません。私達にできることには限界があるので、制度でなんとかするべきところではないでしょうか。