日本の医療現場が悪いのは医局のせい

医療

また自己研鑽絡みで中堅医師が炎上しています。今回は麻酔科という完全分業スタイルの科の医師がこのようなことを言っているのでたちが悪いですね。そして内容もたしかにごもっともなんですが、残業代を出せば済むはずなのにそれを言わない。残業代なしでやれ的な雰囲気を感じるので批判されています。日本はいつまでたってもこのような形から抜け出せないのでしょう。

アメリカではこういう形で分業、チーム医療がすすんでいきます。

たしかに滅多にないことなら時間外で学ぶことも意味があると思うのですが、問題はめったにないことを学んでも残業代がでないどころかその後給与があがらないことです。医局制度があるこの日本では教育コストというのが目に見えないので軽視されていると思います。大学で教える医師の給与にも反映されません。

そもそも医局が転勤を司っているのがおかしいと思うんですよね。

病院からすればそこでずっと働くわけでもない人に自分の技術を教えるインセンティブが働きません。どうせ転勤して他の病院でその技術を使われてしまうのです。だから教育というのが勤務時間に組み込まれないのです。

例えば警察官は立てこもり事件の練習を現場でするのでしょうか?キャビンアテンダントは脱出訓練を現場でするのでしょうか?ありえないですよね。日常の勤務時間の中で訓練の時間が設けられ、そこで学ばせることでその組織や企業の財産として積み上がってくるものなのです。医局はその仕組を破壊しています。病院も災害時の訓練をしていますがそれは年に1回ですし、土日にやっているところも多いです。これだと転勤したばかりの医師は対応できません。土日にやっているのもよくわからないですよね。平日の1日を外来閉鎖してほぼ全職員を対象に訓練しないと意味がない。

私は医師も一般企業と同じように就活して、なにもない限りはその病院で勤め上げるスタイルが良いと思います。そうすれば教える方にもインセンティブがありますし、スキルのある医師は出ていかないように給与で差をつけたりなどもできます。医局がその仕組を破壊しているのです。

まぁ本当は医療はインフラなんですから関西電力みたいに地域で一つの企業(≠医局)が支配して自由開業も禁止してみんなほぼ同じ給与でやるべきだとは思います。ですが今からそのスタイルにはならないでしょう。医局というのは本当に罪な存在です。