急性虫垂炎 いわゆる盲腸 -救急外来でよく見る症例

【主訴】

腹痛(右下腹部痛、心窩部痛、嘔気)

 

【現病歴】

本日朝から心窩部痛あり、夕方にかけて移動し右下腹部痛になり発熱も伴ってきたため救急外来を受診した。

嘔吐や下痢はなかった。(嘔気はあることがある)

なまもの摂取もなし

 

【身体所見】

HR 78 BP130/66 体温38.1 度

右下腹部、Lanz、McBurneyに圧痛あり

 

 

今回は盲腸 急性虫垂炎です。どんな年齢でもおこります。

大まかに上のようなエピソードで来院するので血液検査、ルートキープ、腹部単純CT撮影して外科にコンサルトするか決めましょう。

 

【鑑別診断】

上行結腸憩室炎

同じように右下腹部痛と炎症反応上昇がありますがエピソードとCTの読影で虫垂炎と鑑別できます。

 

他、発熱や圧痛はないですが右下腹部痛では尿路結石の可能性も考える必要があります。

 

 

虫垂炎の治療は手術をするか、抗生剤で散らすかの2択です。

ごく軽度の虫垂炎、白血球上昇もわずかで糞石のない虫垂炎であれば抗生物質の点滴と内服で入院せずとも治療は可能です。(おすすめはしませんが)

デメリットとしては再発する恐れがあるということですね。

 

手術をする場合、

まず大半の施設が「腹腔鏡下虫垂切除術」を選択するはずです。

腹腔鏡というカメラを使って手術します。

おへそとその5cm程度下とそこから左に10cmくらい行ったところの合計3箇所に2cm程度の傷ができます。(ほとんどわからなくなります)

 

単孔式というおへそに1箇所あけるだけの手術もありますがやっている施設はまだ少ないです。

手術後は、早ければ手術をした3日後くらいに退院できます。当院の平均は4,5日だったと思います。

 

 

手術後病理検査に提出すると4段階に分類できます。軽症から順に、

1)カタル性虫垂炎

2)蜂窩織炎性虫垂炎(化膿性虫垂炎)

3)壊疽性虫垂炎

4)穿孔性虫垂炎

 

などとあります。1,2などは手術まで待てますので夜中に入院→翌朝手術もありえますが穿孔性の場合は緊急手術が必要です。真夜中でも手術が始まります。