危険な亜鉛サプリ

医療

何事も過ぎたるは及ばざるが如しです。

双極性障害と甲状腺機能低下症の既往歴がある35歳の男性が、前月からの労作時呼吸困難と疲労感の悪化を訴えて救急外来を受診した。発熱、体重減少、直腸出血は否定された。レボチロキシン、リチウム、テストステロン注射を毎日服用していた。また、ビタミンB12を1日1000μg、亜鉛を1日900mg摂取していた。

この方はどういう理由かは不明ですがテストステロン注射をうって亜鉛のサプリを飲んでいたようです。精力増強なんでしょうか?ですがそのせいで銅欠乏になりました。

亜鉛と銅はどちらかが過剰に存在するともう片方の吸収が抑制されてしまうという関係のようです。そのせいで銅欠乏になってしまったと。

銅欠乏でどんな症状がでるかなんて勉強した記憶がありません。

銅欠乏症の症状には疲労、貧血、白血球数の減少などがあります。ときに、 骨粗しょう症や神経の損傷が発生する場合もあります。神経の損傷によって、手足にチクチクする感覚や感覚消失が起こることがあります。筋力の低下が感じられることもあります。錯乱、易怒性、軽度の抑うつが生じる場合もあります。協調運動障害がみられます。メンケス症候群は遺伝性の病気ですが、重度の知的障害、嘔吐、下痢を引き起こします。皮膚の色素が欠乏し、毛髪が薄いか、硬いか、またはちぢれています。骨が弱くなって奇形が生じることがあり、動脈がもろく、破裂することもあります。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/11-%E6%A0%84%E9%A4%8A%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E3%83%9F%E3%83%8D%E3%83%A9%E3%83%AB/%E9%8A%85%E6%AC%A0%E4%B9%8F%E7%97%87

この症状で銅欠乏を疑うのは困難ですよね。貧血なんていろんなことで起こりますし、精神症状と皮膚症状、神経症状が合わさってようやくたどりつくか?といったレベルです。

まぁだからこそ症例報告になるんでしょうね。

こういうレア症例はどうしても初診では診断がつかずいろいろ紆余曲折を経て大きな病院にたどり着きます。どんなときもこういうレア症例が紛れていると警戒しながら診療しないといけないですね。