まず研修医が4月真っ先にやらされるのが末梢静脈点滴のルート確保だとおもいます。
救急外来に入ったものの診察するには未熟すぎるしやることは看護師さんのお手伝いから。それでやらされるのがインサイト、サーフロー、エラスター、スーパーキャス、アンギオカット、ジェルコ針とかいう針での血管穿刺です。
静脈ライン確保、点滴をいれるなどと言ったりもしますね。ついでにルート採血もできます。
ゲージ数
まずG(ゲージ 英語ではgaugeと書きます)について理解する必要があります。Gの数字が大きいほど細い。
当然ですが太ければ太いほど速く点滴がはいります。
だいたい色で違いがわかるようになってます。
↑太い
16G 黒色:まず使わない。ショックで大量輸液が必要なときとか。ショック状態の人は静脈が虚脱しているのでそもそも入らない。(健康な男性の手であれば入る人は多い)
18G 緑色:これも普段は使わない。ショックで大量輸液が必要なときとか。緊急時に鼠径の大腿静脈に直接穿刺して輸液ラインとして使い、後にガイドワイヤーを通して中心静脈カテーテルを留置するのに使える。
20G ピンク色:手術のときとかそこそこ輸液するとき。平常時使う最大サイズ
22G 青色:一般的なサイズ。第一選択。手術でもまぁ使える。輸血をするならこのサイズ以上の太さを使う
24G 黄色:小児とか血管の細い高齢者用。一日4本の持続点滴とかなら十分つかえる。新生児でもこの太さは入ります。
↓細い
一般的に使うのは22Gのもの。たぶん青色だと思います。これが取れれば十分。
苦手だから24Gで・・・という人もいますが逆に細いと刃の切れ味が悪くてうまく入らないことがあります。7歳以降からは22Gですべて取るようにしましょう。
これらを留置針というのに対し1回だけの点滴のときは翼状針という針をそのまま刺して点滴するタイプのものを使うときもあります。(こっちのほうが難しい)
コツ
すべての場面で使える共通のワザから紹介です。
まず心臓より下に腕をおろしてもらう。
次に腕を縛る。動脈が縛られない程度かつ静脈がしばられる程度にする。橈骨動脈の拍動を触りながらやるとベター。どこで縛っても自由だけど手背をさすなら前腕の遠位側、手首とかでも十分です。グーパーしてもらうと血流が増えてちょっと血管がうきでます。血管をペチペチたたくのはどういう効果かわからないけど血管が浮き出る気がします。患者さんは怪訝な目をするので注意です笑
手背を見る。前腕を最初について失敗するとその遠位からの輸液ができなくなってしまう(とくに抗癌剤など漏れてはいけないもの)ので手背が第一選択!(痛いですが1回で成功するほうが大事です)
ただし暴れそうな認知症の老人には足を第一選択とします。足も心臓より下にするとおもったより血管が浮き出ます。
アルコール綿でふきます。消毒です。広めにやっておきましょう。イソジンは血管が見えにくくなるのでアルコール綿禁止の方はクロルヘキシジンですね。
次にどっちの手を使ってもいいので皮膚を自分の方に引っ張って血管が動かないようにして(この時血管の下流を押さえ過ぎない。刺そうとしてる血管に血が帰ってこなくなる)
(ちなみに裏ワザとしてテープを使って皮膚を引っ張るという方法もあります。両手が自由に使えるのがいいですが準備が面倒です。)
そして刺す!しかし刺す前にサーフローの外筒がするっとうごくか確認を。意外と引っかかることがあります。この状態で刺してしまうと外筒をすすめるときに抵抗があり血管に入っているのか漏れているのかわからないです。
角度はいろいろ諸説ありますが15−30度くらいです。なんとなくで良いですが45度はやりすぎです。このときは皮膚と並行でなくてもいいです。むしろ若い人のプリプリした血管では平行だと滑ってしまうので角度をつけて刺してから寝かすのがいいです。段差ができるほど血管が浮き出ている人は平行に刺入しても問題ないことが多いです。(この場合は45度くらい角度をつけて刺してから寝かす方法が良いです。)
すると逆血がある。外筒をすすめると入る・・・・・
と言葉でいうのは簡単ですが意外と失敗します。失敗の原因は大きく2つ
・血管の奥を突き破っている。
・外筒をすすめるときに皮膚の抵抗で内筒が押し戻されてしまう。
・血管の奥を突き破ってしまう人へ
留置針は内筒と外筒の長さに差があり逆血がかえってきただけだと外筒はまだ血管の外、というのをイメージしてすこし奥まで刺しているのだと思います。
・・・・
しかし「すこし」と言いながら1cmくらい進めている人が結構いるのです。
それだけ進めるといくら寝かせたところで血管の内径はせまく突き破るだけです。
奥まで刺す必要はありません。内筒が刺さって血管に穴が開いているならほんの少し(3mm程度)すすめるだけで外筒は入ります。
(この時外筒は血管外にありますが内筒がすっぽり血管に入っている状態であれば外筒をすすめれば入ります。)
逆血が来るくらい刺しているのですから外筒がはいるくらいの穴はあいているのです。
内筒の針をみてください。針の真ん中まで刺さらないと逆血は来ないのです。つまりそこまでさしていれば血管にあけた穴のサイズとしては十分なのです。寝かせるのは必要ですが。
ではなぜ失敗するのか。それが2番めの「外筒をすすめるときに内筒が押し戻されてしまう」です。
内筒と外筒がひっかかって動きにくくなっていたり、皮膚が硬いひとでなりやすいです。外筒を押しこむ時に内筒が後ろにもどり血管外にでてしまうのです。
以上の原因を解決するにはこうします。
逆血があったら片手で内筒をしっかり固定してもう一方の手で外筒を送り出す。
これで20Gでもなんでも入るようになりました✌
トラブルシューティング
・血管が浮き出ない
駆血しすぎではないですか?一旦外して患者さんに手を上に上げてもらいましょう。そこでグーパーグーパーしてもらったあとに下におろします。そして適度な圧で駆血すると血管がでてくる・・・
・刺さった瞬間どばっと崩壊して漏れる。
駆血が強すぎ、もしくは時間が長すぎです。静脈内に過剰に血液があると刺した瞬間に漏れます。緩めてみたり試行錯誤をしましょう。
・血管があきらかにあるのに刺さらない
若者のプリプリの血管か、動脈硬化の進んだ中高年の男性に多いですね。
⇢一度角度を60度位にして挿入しましょう。針が刺さったら少しだけ戻して(ここがポイント。ぷりぷりの血管は圧力をかけないと刺さらないので逆血があったときはかなり奥に行っている)寝かして進めていく・・・
・外筒が進まない。
たいてい血管の奥を突き破っています。すこし引いてみて、より角度を皮膚と平行にして内筒ごと進めてみます。それで行けそうなら外筒を押し出します;
本としてはこういう本がありますが、これよりも先輩などに教わりながら実際に仲間内で刺しあって練習するのがいいでしょう!youtubeの動画もなんだかなぁ?といった感じです。やって慣れよう!
こんな本もあります