内科の先生はよくカロナール200mgを2錠で痛み止めとして処方していますがこれでは全く効果がないようです。日本では2011年以前、アセトアミノフェンの承認用量が1回500mg・1日1500mgまでに制限されていたことがまだ色濃く残っているようです。現在の上限量は4000mgです。これなら1回1000mgで3回上げてもまだ余裕があるくらいです。
しかし1000mg以上は投与しても頭打ちで意味がありません。
・経口投与後のバイオアベイラビリティ(生体利用率)は用量依存的で、500mg時は約63%なのに対し1000mgでは約89%に上昇します
・1000mg経口投与した場合、平均血中濃度はピーク時でおよそ15~20µg/mL程度に達すると報告されており、500mgではその半量程度に留まります(正確な値は体格等によりますが概ね半分前後で鎮痛に必要な治療的血中濃度は約10~20mg/L(µg/mL)程度。
・即放性製剤の経口投与では約30~60分で血中濃度ピーク(Tmax約1時間)**に達し、その後2時間前後で最大鎮痛効果が発現するとされています
・術後痛や急性外傷痛に対してアセトアミノフェンをベース薬とし、1回1000mgの定時投与を推奨する例があります。欧州泌尿器科協会(EAU)の術後痛管理ガイドラインでは、**「パラセタモール1gを1日4回」**を基本量とし、肝機能に問題がなければこの用量での投与を勧告しています
・頭痛領域のガイドラインでも、緊張型頭痛や片頭痛の急性期治療にアセトアミノフェンが登場し、その推奨投与量は成人1回1000mgです。英国BASHなどの頭痛ガイドラインでは、緊張型頭痛の第一選択薬の一つとしてパラセタモールが挙げられ、適正量での内服(通常1g)が推奨されます。またドイツの頭痛学会ガイドラインでも「カフェイン併用のパラセタモール(第一選択)、単剤は第二選択」とされていますが、いずれも1回1000mgが前提です。(英語ではパラセタモールParacetamolといいます)
しかし・・・・
筋骨格系の痛み(腰痛・変形性関節症など): 慢性腰痛に関しては近年「パラセタモールは無効だった」とする大規模試験結果が報告され、高品質のエビデンスで急性腰痛への有効性はプラセボと差がなかったとも言われますpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。このため腰痛ガイドラインでは推奨度が下がりました。しかし変形性関節症(膝OAなど)では依然として第一選択薬として位置づけられ、1000mgを1日3~4回の投与で一部の患者に有意な疼痛軽減が見込まれますjstage.jst.go.jp。ただし効果量は小さい(痛みスコア改善はプラセボ比でわずか、NNTが高め)とのメタ解析もあり、患者によっては効果実感がないこともあります。その場合はNSAIDsなどへの切替えが検討されます。筋肉痛・関節痛など一般的な筋骨格痛には、まずアセトアミノフェン1000mgを試し、効果不十分なら他剤併用や増強策(他の鎮痛薬併用など)を考えるのが国際標準ですjstage.jst.go.jp。500mgでは鎮痛効果が限定的であるため、この領域でも可能なら1回1gが推奨されます。
神経障害性疼痛: いわゆる神経痛(坐骨神経痛や帯状疱疹後神経痛など)は、痛みの機序が特殊でアセトアミノフェンのような通常の鎮痛薬は効果が乏しいです。ガイドラインでもプレガバリン等の神経障害性疼痛治療薬が第一選択であり、パラセタモールは補助的役割に留まりますen.wikipedia.org。従って500mgでも1000mgでも神経痛そのものを和らげる効果は限定的で、鎮痛補助として用いるなら安全範囲内で1000mgまで用いる、といった位置づけです(神経痛患者での明確な用量反応のデータは不足en.wikipedia.org)
という位置づけで、まとめると
・カロナールは1回1000mg使おう
・整形外科領域の慢性疼痛や神経障害性疼痛は苦手かもしれない
ということになります。でも500mgの錠剤って大きいんですよね。。。。
300mgならアマゾンでも買えるので備蓄しておきましょう
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