《市民病院医療事故多発》執刀医と市に8888万円賠償命令 神戸地裁姫路支部
赤穂市民病院の脳神経外科手術で誤ってドリルで神経を切断されて重い後遺障害が生じた患者女性とその家族が、執刀医と赤穂市に損害賠償を求めた民事訴訟で、神戸地裁姫路支部(池上尚子裁判長)は14日、被告らに計約8888万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
患者の女性(当時74歳)は2020年1月、脊椎管狭窄症による腰痛と診断され、同病院で手術を受けた。執刀医が骨をドリルで削った際、誤って硬膜を損傷し、露出した馬尾神経を巻き込んで切断。助手を務めた科長が修復措置を行ったが、女性には両下肢麻痺と膀胱直腸障害、神経障害性疼痛などの重い後遺障害が残った。女性と家族は21年8月、慰謝料と治療費、将来介護費用など約1億4180万円の賠償を求め、執刀医と赤穂市を訴えた。
判決で池上裁判長は、医療ミスが起きた要因について、出血などでよく見えないのに止血をこまめにせずドリルで骨を削り進めたためとし、「注意義務違反の程度は著しい」と認定。「(助手の科長が)水をかけ過ぎたことやスチールバー(切削能力の高いドリル)の使用を指示したことも事故の原因」だとする執刀医の主張を「仮にそのような事実があるとしても、被告の注意義務違反の程度を軽減する理由となるものではない」と採用しなかった。
さらに、執刀医が同病院に入職してから約9か月の間に関わった手術のうち本件を含む11事例が医療事故として検証の対象にされたことを挙げ、「被告医師の技量が稚拙であったことをうかがわせる」と指摘。また、本件医療事故発生後の病院の対応を「患者や親族の立場・心情に十分に配慮し、迅速に説明を尽くしたと評価するには不足があるというべき」と批判した上で「医療事故自体の精神的苦痛にも増して、さらに苦痛を受けた」として、いずれも慰謝料増額の根拠とした。
また、執刀医は裁判で、原告らが作成に関与したウェブ漫画『脳外科医 竹田くん』により「社会的制裁を受けている」として慰謝料の減額を主張していたが、判決は「医療事故により原告らが受けた損害を検討するにおいて関連がある事実とみることはできない」として退けた。
判決を受けて会見した原告側代理人の若宮隆幸弁護士は「偶発的な事故ではなく、基本的なことができていなかったからこそ起こった事故だと裁判所も認めたと認識している。特に重要と考えていた部分について一定程度認められた」と判決を評価した。一方、執刀医は赤穂民報の取材に「まだ判決文を見ていない」としてコメントを差し控え、赤穂市民病院は「判決を真摯に受け止め、引き続き医療安全の推進に努めてまいります」と病院事業管理者の声明を出した。
この医療過誤をめぐっては、昨年12月、神戸地検姫路支部が執刀医を業務上過失障害罪で在宅起訴。今後、裁判で刑事責任が問われる。
まずは民事で判決がでました。赤穂市と本人に8888万円の賠償ですがこれはどう割り当てられるんでしょうか?ChatGPTに聞いていました。
🧑⚖️【過去の例】
医療機関が地方自治体に属する公立病院の場合(今回も「赤穂市民病院」なので同様)、
- 病院の管理者責任や使用者責任(民法715条)に基づき、自治体が全面的に賠償することが多い。
- 医師個人への求償は、重大な過失がある場合に限られる。
例:
- 川崎市立病院事件(1990年代):全額を市が賠償 → 医師に対しての求償なし。
- 北九州市の医療過誤事件(2000年代):市が賠償、医師に対しての求償を検討したが、公務員としての「重大な過失」にはあたらないとして実行されず。
💡【本件での可能性】
本件でも、次のような構図になることが予想されます:
- 賠償義務:赤穂市が全額(8888万円)支払う
- 原告に対する賠償の支払いは市が行う。
- 求償の可否:市が医師に対して一部を請求するかは未定
- 判決は医師の技量不足や注意義務違反を厳しく批判しているため、赤穂市が医師に一部を求償する可能性は理論上あり得るが、実際にするかどうかは今後の判断。
なるほどこれで市が全額負担することもありうるんですね・・・まぁたしかに市は雇った責任があります。いくら医局人事できたといっても雇ったのはその病院であり市です。
次に気になるのはこの部分
さらに、執刀医が同病院に入職してから約9か月の間に関わった手術のうち本件を含む11事例が医療事故として検証の対象にされたことを挙げ、「被告医師の技量が稚拙であったことをうかがわせる」と指摘
これはすなわち他の事件が明るみになっていなければここまでの賠償にはならなかったということなんでしょうか。1件でも起きてしまえば裁判になる可能性があることが起こっているわけで、たしかにたまたまなってしまうことはあるのでそこは安心です。というかたまにしかなってはいけませんが・・・
そして次には刑事訴訟も控えているようです。技量のない医師が手術して後遺症を追わせた場合、やはりそれは刑事罰になるのでしょうか。でも1000件手術していれば合併症の一つや2つはおこります。それを起訴されるような社会では医者なんてやってられません。ではどこからがアウトなのか?100件に1件でもアウトなのか。10件に1件ならアウトなのか。そのラインが恣意的であればやはり医者なんてやってられません。竹田君のやった手術の点数はせいぜい数十万程度。入院費用も含めて100−200万くらいの手術でここまでの賠償を迫られるなら、、、外科医はそのうちいなくなるでしょう。
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